和歌山県立医科大学第1外科

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漏斗胸について

■漏斗胸とは?

 このホームページを開かれた方は,お子さまの胸の変形に気が付かれた方や病院で漏斗胸と診断され,どうしたらよいのか悩まれている方がほとんどであろうと思います。ですから漏斗胸について簡単に説明いたしましょう

 漏斗胸とは前胸部が漏斗状にへこんでいる状態で,肋軟骨が異常に伸びることが原因とされています。

■漏斗胸の臨床症状

 変形は生後すぐに認められることもありますが,生後1〜2週より徐々に現れ,1〜2歳でより明らかになります。この変形は成人になり胸骨やその周囲の成長が完成するまで徐々に進行するとされていますが,中には進行が止まったり,改善したりする例もあります。漏斗胸は高度になると,循環器系や呼吸器系症状(運動したときの息切れ,動悸,疲れやすさ,頻回の気道感染など)を伴うこともあります。しかしながら,こういう症例はほとんどなく,実際は風邪をひいたときに喘息様の症状が出る程度のものが多いようです。
 大部分の患者さんは特に臨床的な症状は認めないものの,家族の方やご本人さんが胸部の変形を気にして受診されます。その他,人前で服の着替えができないとか,プールに入るのを嫌がったりとか,いじめなどといったことによって,子供さんが劣等感を持ったり,性格的に内向的になるおそれなどといった精神的な発育を心配されて相談に来られる方もおられます。

■漏斗胸の手術適応

漏斗胸の基本的な治療法はやはり手術となります。しかし,胸の変形があるからといって全ての方に手術が必要とは言えません。新生児期および乳児期には肋骨や筋肉が非常に柔軟なため,呼吸による偽性漏斗胸の場合もあります。偽性漏斗胸は2〜3歳までに自然治癒するため,手術適応とはなりません。
 軽度の漏斗胸であれば,成長とともに変形が止まったり,改善されていくこともあります。女児であれば,軽度の陥凹ならば乳房の発達により目立たなくなる場合もあるため,手術の合併症や傷跡などのことを考えて,経過観察する場合もあります。
 しかし,また別の意見として漏斗胸を手術したことにより,元気になったとか,スタミナが出てきたとか,風邪をこじらせにくくなったとか言われる方がおられるように,漏斗胸は単なる胸部の変形だけでなく,全身的な病気であり,矯正が期待できる患者さんには積極的に手術すべきであると考える施設もあります。
 当院では胸部CTや心電図,呼吸機能検査などを行い,変形の度合い,改善度などを客観的に評価し,患者さんおよびご家族と十分に相談した上で,手術をするかどうか,また手術をするならば,その患者さんに適した手術の方法,時期などを決定しています。

■漏斗胸の治療法

 漏斗胸の手術として,従来行われていた手術としては胸骨挙上術や胸骨翻転術があります。最近では金属のプレートを用いて変形を矯正する方法(Nuss法)も行われるようになりました。おもに当院では胸骨挙上法とNuss法を行っていますので,それについて話をさせて頂きましょう。

■胸骨挙上術

 簡単に言えば,胸骨挙上術とは漏斗胸の原因となる変形した肋軟骨を切除し,肋骨と胸骨を結びつけるといった方法です。従来の胸骨挙上術では前胸部に大きな傷が残ってしまいます。そのため漏斗胸は治ったが,傷跡が悩みの種であるといった問題が生じます。当科での漏斗胸手術の基本コンセプトは,あくまでも良好な整容効果の獲得に存在すると考えており,開襟シャツを着ても傷が見えない方法である縮小皮膚切開を用いた胸骨挙上術を選択しております。傷跡は乳首の高さから,みぞおちまでとできる限り縮小し,手術としては従来行われていた方法と同様に,変形の原因となっている肋軟骨を切除し,さらに胸骨を挙上しやすいように,胸骨を横に切断し持ち上げるように固定しなおすものです。

■Nuss法

 Nuss法とは理想的な胸の形に曲げておいた金属のプレートを内視鏡下に胸骨と心臓の間に入れ,変形した肋軟骨を前方に持ち上げ,矯正を図るものです。この手術では傷はわきの下にしか残らず,非常に画期的な手術です。前者に較べて傷跡は小さく,またわきの下に隠れるため,女児にとって非常に有効な治療法であると考えています。問題点としては金属を入れることに伴う合併症(金属のプレートのずれ,感染症など),2〜3年後に再手術し,金属のプレートを摘出しなければならないこと,手術が考案されてから月日は浅いため長期的予後の評価ができていないことなどがありますが,非常に優れた整容効果が得られ,多くの患者様に対しご満足いただけるものと思います。

 

以上,漏斗胸に関して述べさせていただきました。もし漏斗胸にて悩まれておられる方,もしくは親御さんはどうぞご気軽に第1外科にご相談下さい。

 
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