心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科の研修を希望する医師を募集します。初期研修終了後、和歌山県立医科大学外科研修プログラムを基本として卒後3年目は主に大学で研修を行います。4年目、5年目は関連施設で研修を行い、6年目以降は大学で研修を行いサブスペシャリティーの専門医資格を目指します。大学院に関して、臨床研究を希望する場合は本講座で行い、基礎研究を希望する場合は基礎医学講座と協力して指導を行います。また、留学に関しては国内を中心に希望に応じて検討します。女性医師の働き方については支援していますので個々に相談に乗りたいと思います。
心臓血管外科
施設認定
社団法人日本外科学会 専門医制度修練施設 (指定施設)
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 認定修練施設 (基幹施設)
日本脈管学会認定 研修指定施設
National Clinical Database 参加施設
関連10学会構成 日本ステントグラフト実施基準管理委員会認定 実施施設 (胸部、腹部)
経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会認定 TAVI指導施設 (TAV in TAV TAV in SAV 透析患者)
浅大腿動脈ステントグラフト実施施設
下肢静脈瘤に対する血管内治療 実施基準による実施施設
静脈性潰瘍に対する静脈圧迫処置(圧迫療法)施設認定
取り扱う疾患
①成人心臓大血管手術 ②先天性心疾患手術 ③末梢血管手術
①
狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術(CABG)、左室形成術、心筋梗塞合併症に対する手術などを行っています。CABGに関しては心拍動下(OPCAB)や人工心肺下のCABGだけでなく低侵襲冠動脈バイパス術(MICS-CABG)も行っています。
近年話題となっている弁膜症に対する手術に関しては、胸骨正中切開で行う手術だけでなくより低侵襲で美容面でも良好な右開胸下の低侵襲弁膜症手術(MICS-AVR、MICS-MVP・MVR)も行っています。また心臓血管外科と循環器内科からなるハートチームは多数の経カテーテル大動脈弁置換(TAVI)を行っており、TAVI指導施設に認定されています。大腿動脈アプローチだけでなく様々なアプローチ方法にも熟知しており、患者さんに最適な治療選択を行っています。
胸部大血管手術においては大動脈解離など多数の緊急手術を行っています。通常の正中切開での手術だけでなくカテーテルを用いた低侵襲なステントグラフト治療(TEVAR)も行っています。
②
外科治療の対象となる先天性心疾患は、動脈管開存症、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、ファロー四徴症、房室中隔欠損症や完全大血管転移症、総肺静脈還流異常症、単心室症などで、患者さんは出生直後の新生児のお子さんから心臓の外科治療を受けたことのある成人の方です。流動的な血行動態が外科介入により劇的に変化する治療で、出生数の減少とともに手術件数も減る傾向にありますが必要不可欠な分野です。
③
下肢静脈瘤に対するStripping手術だけでなく、傷が小さく美容的にも優れたラジオ波血管焼灼治療、Venaseal(糊を用いた治療)での治療なども行っています。
下肢動脈疾患については人工血管を用いた手術に加え、バイパス手術、血管内治療(EVT)も行っています。
最近のトピック
心臓外科領域では患者さんの術後の早期社会復帰に向けさまざまな低侵襲手術(Minimally invasive cardiac surgery :MICS)が増加しています。当院でも弁膜症や一部の冠動脈バイパス術患者さんにおいてもMICSでの治療を行っています。
ロボット手術も導入予定としています。
また近年様々な心臓の機能をサポートするデバイスが開発されています。以前では考えられなかったような効果のある心臓サポートデバイスです。当院でもWorld smallest pumpとして知られるImpellaなどを積極的に用いています。
当科の医師が有する資格
外科専門医・指導医者、心臓血管外科専門医・指導医・国際会員
脈管専門医、循環器専門医
腹部ステントグラフト実施医・指導医、胸部ステントグラフト実施医・指導医
経カテーテル弁置換実施医・指導医
浅大腿動脈ステントグラフト実施医
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医
心臓血管外科 チーフ 本田 賢太朗
呼吸器外科
ダイナミックな手術と先進的な治療の世界
呼吸器外科チームでは、癌研式の完全胸腔鏡下手術を中心に開胸手術からロボット支援下手術まで幅広い手術を行っています。治療はベテランと若手でチームを作り、チーム毎に診療にあたります。手術は年次に応じて執刀機会をもち、難易度の低い手術では術者として先発完投を目指し、難易度の高い手術ではskin-to-skinにこだわらず積極的に手術に参加してもらっています。
現在呼吸器外科では、周術期の治療が大きく変化する時代にあり、術前術後の抗がん剤治療を組み合わせた治療が進んでいます。当院では国内有数の呼吸器内科と呼吸器チームを形成し、病院としての治療方針を決め、密接に連携し診療に当たっています。国際的な臨床試験にも積極的に参加し、国内でも有数の成績を上げています。
呼吸器外科は命に直結する肺を扱うため、他の分野にまけないダイナミックな手術と繊細な手技でメジャー外科ならではのやりがいがあります。一方で他のメジャー外科と比較しても緊急疾患がほぼなく、予定外の緊急手術がほとんどないため、時間が読みやすく、子育て中の女性医師も活躍しています。後述する完全チーム制を中心とした先進的な制度により、若手も働きやすい環境です。私たちと一緒に呼吸器外科のダイナミックな世界を経験しませんか。
完全チーム制と電子カルテ遠隔システムによるワークライフバランスと女性医師のキャリア形成支援
呼吸器外科チームでは主治医制を廃し、完全チーム制で診療にあたっています。休日も病棟管理は当番制とし、一方若手が当番の時も、電子カルテの遠隔閲覧システムを用いていつでも相談可能な体制をとり、呼吸器チームリーダーが最終責任者として管理することで、安全面も万全です。休みの日にどうするかを、メンバーに言って休む必要もありません。このシステムにより、呼吸器グループでは子育て中の女性医師もキャリアを中断することなく、ポストを持ち、手術でも中心的な役割を持ち、学会でもキャリアを積んでいます。こうした先進的なシステムは医師全体のワークライフバランスにもつながるため、さらに改善を続けています。
呼吸器外科 チーフ 平井 慶充
乳腺外科
乳癌治療の研修とチーム医療の機会提供
当科では、乳腺専門医を目指す若手医師を募集しています。乳癌の患者数の増加に加え、住民検診へのマンモグラフィの導入などで、一般社会の乳癌への関心が著しく高まってきています。しかしながら現状においては全国的に乳癌の患者数に対し、乳腺専門医が極端に少ない状況が続いており、少ない乳腺専門医にかなり多くの患者が集まる傾向にあります。このような状況をふまえ、我々としても1人でも多くの優れた乳腺専門医を育成するよう日々努力しています。
現在、乳癌治療は単独科での治療は難しく、チーム医療が必須となっています。そのためには診断、手術、薬物療法、放射線治療等の手技や知識を得ることが必要です。
当院は、大学病院であり、乳癌の治療や診断に必要な診療科(放射線科、形成外科、緩和ケア科、腫瘍内科など)や外科専門医取得に必要な全ての診療科が揃っています。当科では、年間200例を超える豊富な手術実績をもとに、エビデンスに基づいた治療を行っています。診断・手術・化学療法など乳癌診療に関するすべての分野におけるエキスパートを志す医師の育成につとめています。一方、手術症例乳腺外科医を目指したいけれども外科専門医はハードルが高いと心配されている先生方にも安心して修練を受けていただけます。
まだ志望する診療科が決まっていない研修医の方も少しでも興味があれば是非、乳腺外科を選択して研修してください。よりよい研修期間になるよう一緒に頑張りましょう。
当科は少人数でありますが、他科よりも早く主治医になれるメリットがあります。もちろんカンファレンスだけでなく、普段より相談の体制をとっております。ともに乳癌診療ができるようがんばりましょう。
乳癌について少しでも興味がある方、これから乳腺専門医を目指したい方、研修について質問のある方は、お気軽にお問い合わせください。
国内留学も希望を聞きながら留学先選びも相談しながら行っております。大学院医学系研究科(博士課程)への入学は、随時可能ですのでご希望の方はぜひご相談ください。
診療は、主治医制を基本に、夜間・休日は当直医や当番医になるべく任せて自由時間を確保するようにしております。また、女性医師だけでなくすべてのスタッフが結婚・妊娠・出産・介護などのライフイベントで万全の状況で働くことが出来ない期間も可能な限り研修の負担にならないように調整します。現在、妊娠出産を経験した当科の先生方もほとんどがそれほど遅れることなく乳腺専門医を取得できています。
乳腺外科 チーフ 宮坂 美和子