kv_group

OUR GROUP

診療グループについて

ACHIEVEMENT

前年度の手術実績

*過去の手術実績は「手術統計」ページをご覧ください。

STAFF

心臓血管外科 教室員紹介

CARDIOVASCULAR
SURGERY

心臓血管外科

多彩なアプローチで心臓血管治療に幅広く対応

心臓血管外科では成人心臓血管疾患および先天性心臓血管疾患を扱っています。

成人チームでは冠動脈の病気である虚血性心疾患や近年話題に上がることの多い弁膜疾患、大動脈瘤や大動脈解離などの大動脈疾患に加え、閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患、下肢静脈瘤などの治療も行っています。心臓手術は体への影響が大きい(侵襲の高い)手術といわれています。高齢者人口の多い和歌山県において、少しでも低侵襲な心臓血管治療が提供できるようにとの思いから2019年にMICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery:低侵襲心臓手術)を導入しました。現在ではMICSでの弁形成や弁置換、冠動脈バイパス手術を実施しており、2023年にはRobot支援下の心臓手術も開始しました。

また、大動脈疾患では通常の開胸手術だけでなくカテーテルを用いたTEVAR/EVAR(胸部大動脈及び腹部大動脈のステントグラフト治療)も積極的に行っています。四肢末梢の動静脈疾患も同様に、カテーテルを用いたEVT治療やラジオ波や糊を用いた下肢静脈瘤治療も行っています。

近年、チーム医療の重要性が注目されています。当院でも心臓血管外科、循環器内科、腎臓内科、放射線科やその他の部門など複数部門が協力し、心臓病センターを設立しました。特に、循環器内科とのハートチームではTAVR(経カテーテル大動脈弁置換)治療を積極的に行っており、日本経カテーテル心臓弁治療学会からTAVR指導施設の認定を受けています。透析患者さんを含むさまざまな合併症を持つ患者にも治療が可能な体制を整えています。

また、先天性チームも同様に小児科と連携し、比較的治療難易度の高い疾患にも対応しています。和歌山県在住の患者が県内で医療を受けられるように努めています。

低侵襲心臓手術(MICS)

心臓血管外科の手術は一般的に侵襲(体への影響)が大きい手術といわれています。通常よく用いられる胸骨正中切開での手術は、皮膚切開も長く、胸骨という胸の中心の骨を半分に切開することから術後の痛みもあり、そのため高齢者では手術は侵襲が大きすぎると考えられていました。

近年では技術の進歩もあり、少しでも体への影響の小さい低侵襲手術:MICSが行われるようになりました。この手術は骨を切らず、筋肉だけを切るという方法です。また切開創も小さいのが特徴です。

創が小さいことは様々なメリットがあります。感染のリスクが低くなること、痛みが少ないこと、痛みが少ないためリハビリが行いやすくなることなどがあります。働く世代であれば早期の社会復帰が可能となる一方、高齢患者さんでは認知機能の低下を予防し、早期に手術前と同じ生活をすることが可能となります。

MICSの適応となる疾患
  • 心臓弁膜症
    僧帽弁閉鎖不全症、狭窄症➡弁形成術、弁置換術
    大動脈弁狭窄症、閉鎖不全症➡弁置換手術
    三尖弁閉鎖不全症➡弁形成術
  • 虚血性心疾患
    冠動脈バイパス手術 (適応となる患者さんは限られます)
  • 心房細動
    左心耳閉鎖手術
  • 心臓腫瘍
    (いずれもすべての患者さんでMICSが可能というわけではありません)

ロボット支援下心臓手術

低侵襲手術の中には、DaVinciと呼ばれるロボットを用いたロボット支援下心臓手術も含まれます。ロボット支援下心臓手術においてロボットは、僧帽弁形成術と冠動脈バイパス術における内胸動脈(バイパスに使用するグラフト)の剥離に使用されます。

ロボット支援下の手術では、より小さな創、より良好な視野(カメラを見ながら手術を行います)で手術が可能となるため、患者さんと医療者双方にメリットがあると考えられます。

和歌山県立医科大学附属病院 心臓血管外科では、2023年よりロボット支援下心臓手術を行っています。

ロボット支援下手術
(僧帽弁形成術)

DISEASES

様々な疾患について

冠動脈疾患・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

心臓は体中に血液を送る(ポンプの働きをしている)重要な臓器です。心臓は筋肉でできているため心臓自身にも栄養と酸素が供給されなければなりません。心臓に酸素を含んだ血液を届ける血管は冠動脈と呼ばれ、何らかの原因で狭くなったり、閉塞したりすると心筋に十分な酸素が届かなくなります(虚血)。このような状態を虚血性心疾患といいます。その中でも、冠動脈が狭くなり、一時的に心筋が十分な酸素が届かなくなる病態を狭心症といい、冠動脈が閉塞してしまい、急激に心筋に酸素が届かなくなり、細胞が壊れていく病態(壊死)を心筋梗塞といいます。

原因 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙など
症状

狭心症

  • 安定狭心症・労作性狭心症
    運動時に胸が圧迫されるような感じや締め付けられるような感覚が出現します。数分程度持続し、ときに顎、肩、首、腕にも違和感が出現することがあります。
  • 不安定狭心症
    安静にしているときにも上記のような胸部症状をきたしたり、日ごとに症状が増悪したりするような状態をいいます。症状が改善しない場合や増悪する場合は、すぐに救急車を呼んで医療機関を受診する必要があります。

心筋梗塞

  • 急性心筋梗塞
    安静でも20分以上~数時間つづく胸痛。冷や汗や吐き気を伴うこともあります。すぐに救急車を呼んで医療機関を受診しないと命にかかわる状態です。糖尿病の方や高齢の方では、あまり症状に気づかない方もいます。
  • 陳旧性心筋梗塞
    急性心筋梗塞を発症してから30日以上経過した状態です。心筋梗塞を起こした心臓の動きは悪くなっていることが多いです。
治療 冠動脈疾患の治療には、薬物療法などの保存的な治療と、カテーテル治療や冠動脈バイパス術のような治療があります。
1) カテーテル治療

手や足の血管にカテーテルという細い管を入れ、冠動脈の病変部を広げたり、ステントという筒を入れたりします。血栓(血のかたまり)があれば、回収することもあります。当院では循環器内科の先生がおこなっています。

2)冠動脈バイパス術

カテーテル治療の方が体への侵襲は少ないですが、カテーテル治療ができない病変や多病変に対しては冠動脈バイパス術が必要になります。冠動脈バイパスでは、ご自身の血管(胸の骨裏の血管、手の血管、足の血管、お腹の血管など)のいずれかを使用し、狭窄・閉塞部を迂回(バイパス)するような形で、酸素の届いていない心筋に十分な血流を届けることができます。

通常は、胸の真ん中の骨を大きく切るような手術ですが、冠動脈病変の場所によっては、骨の一部もしくは骨を切らない低侵襲手術も当院では行っています。だいたい術後1-2週間で退院することができます。

弁膜症

心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれています。それぞれの部屋の出口には「弁」という薄い膜でできた一方向に向かって開く扉がついており、その弁が血液の流れが一方通行になるように働いています。
その弁が狭くなって血液が送り出しにくくなることを「狭窄症」、逆流してしまうことを「逆流症」や、「閉鎖不全症」といいます。代表的な大動脈弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全症について解説します。

大動脈弁狭窄症

動脈弁狭窄症とは、心臓の中にある大動脈弁が狭くなってしまう病気です。この弁は、心臓から全身へ血液を送り出す際に最後に通る重要な部分で、血液の流れを制御します。

原因
  • 加齢による変性(動脈硬化のような変化)
  • 先天性のもの(大動脈弁が生まれつき2つまたは1つにしか分かれない場合)
  • リウマチ熱による後遺症

人口の高齢化に伴い70-80歳代の患者さんが増えています。

症状 息切れ、動悸、胸痛、失神、足のむくみ
診断 心エコー検査が一般的な診断方法です。これにより弁の状態や逆流の程度を評価します。他にも聴診や心電図、心臓カテーテル検査などが行われます。
治療

大動脈弁置換術や、経カテーテル的大動脈植込術(TAVI)などがあります。ハートチーム(循環器内科 心臓血管外科)で毎週カンファレンスを行い、治療法について検討しています。

大動脈弁置換術(AVR)、低侵襲心臓手術(MICS AVR)

全身麻酔をかけて開胸し、悪くなった大動脈弁を取り除いて、新しい人工弁を植込む手術です。胸の真ん中にある胸骨を縦に切って行う場合と、肋骨の隙間から手術を行う低侵襲心臓手術(MICS AVR)があります。

人工弁は生体弁と機械弁があります。生体弁は牛や豚などの心臓弁や、心膜から作成したやわらかいもので、血栓が付着しにくいというメリットと、機械弁と比較すると耐用年数が短いというデメリットがあります。比較的高齢の方に使用することが多いです。

機械弁はカーボンなどでできた物で生体弁より長持ちするというメリットがありますが、生体弁より血栓が付きやすく、抗凝固薬は一生続ける必要があります。若年の方に使用することが多いです。

経カテーテル的大動脈弁植込術(TAVI)

血管に針を刺してカテーテルを挿入し、人工弁を植込む手術です。ほとんどは鼠径部にある大腿動脈という血管から行いますが、血管が細くて通らないなどの条件によっては、鎖骨下動脈、大動脈、心尖部などから行います。開胸が不要なので、体への負担は小さいとされています。一方でペースメーカーが必要となるリスクは開胸手術より高いとされています。比較的新しい治療であり、長期予後がまだ分かっていないというデメリットもあります。

年齢や、持病などによって体力的に開胸手術に耐えられないと判断された方が対象になります。

大動脈の病気

大動脈解離

“一番太く大事な血管である大動脈の壁が裂ける病気。命に関わる危険な病気。”

大動脈とは

大動脈は心臓から全身の臓器に血液を送る一番太い血管です。場所によって名前がついており、体の様々な臓器に血流を送るための重要な枝を出しています。心臓から出てすぐの頭の方向へ向かう部分を上行大動脈、そこから足の方へUターンするようにカーブし頭への重要な枝を出す弓部大動脈、心臓の後ろを通って足の方へ向かう下行大動脈、横隔膜を越えると腹部大動脈となり、最終的には両足へ向かうため2本に分かれます。また大動脈の壁は内膜、中膜、外膜の3層構造になっています。

大動脈解離とは(代表的な大動脈の病気)

大動脈内膜に亀裂(tear)が生じ、血管の壁が中膜のレベルで2層に裂ける(解離する)ことで、血液が壁の間に流れ込み新たな血液の通り道(偽腔)をつくってしまいます。
大動脈解離は突然の胸痛、背部痛によって発症します。

解離がもたらす恐ろしい症状は主に①大動脈破裂と、②臓器の血流障害です。

①大動脈破裂
裂けて弱くなった大動脈の壁が破裂することによって大出血が起こり、血圧が急激に下がるショック状態、場合によっては急死することもあります。心臓の周りに出血がたまると心臓が外側から押されて全身へ血液を送り出せなくなる心タンポナーデという状態になることもあります。

②臓器血流障害
大動脈からの重要な枝に解離が及ぶことで、臓器への血流障害が起きることがあります。臓器への血液が足りなくなることによって様々な症状が起こります。頭へ行く血流が障害されると脳梗塞となり、心臓への血流を送る冠動脈に障害が起きると心筋梗塞に、脊髄の血流障害によって下半身の麻痺(対麻痺)などが起こります。

原因 ほとんどの方は高血圧が原因ですが、中には交通事故や転落などによる外傷によるものや血管の壁が脆くなる病気が背景にある場合もあります。
治療

大動脈解離は裂けている部分によって大きく2つに分類され、治療方針が異なります。上行大動脈に解離があるものをA型、上行大動脈に解離がないものをB型といいます(Stanford分類)。

Stanford A型大動脈解離

A型の場合はより重大な合併症の起こるリスクが高いため緊急手術が必要です。手術を行わなかった場合は破裂、心タンポナーデ、心筋虚血、脳虚血、腸管虚血などにより48時間で2人に1が亡くなるとされています。
手術は大動脈を人工血管で取り替える人工血管置換術を行います。開胸し、心臓を止めて人工心肺という機械を使用する手術です。亀裂が入っている部分や解離している範囲などにより、手術の範囲を決めます。

Stanford B型大動脈解離

B型の場合は基本的には外科手術ではなく、厳重な血圧、脈拍数、疼痛コントロールによる保存加療を行います。しかしB型であっても破裂しているものや破裂しかかっているもの、臓器血流障害があるものにおいては緊急手術の適応になります。
手術は、近年は低侵襲なステントグラフト内挿術という血管内治療が適応になることが多いですが、血流が足りなくなっている臓器へのバイパス術や、開胸・開腹での人工血管置換術が必要となる場合もあります。

発症後の生活 手術や保存加療によって急性期を乗り越えることができたとしても、かりつけ医による日々の血圧管理はもちろん、定期的に専門医を受診することが重要です。A型解離で手術を受けられた方であっても、全ての解離した範囲の血管を取り替えることはできず解離した部分が残っている場合があります。これらの血管が拡大してきて動脈瘤になることもあります。B型解離で保存加療をされた方であっても慢性期に解離した部分が動脈瘤となり破裂予防のため治療が必要となることは少なくありません。定期的にCTを含めた検査を受けていただき、治療介入が必要かどうか慎重に経過観察をしなければなりません。
最後に 大動脈解離は前触れなく起こるため、発症の予測は困難であり、中には病院に辿り着く前に亡くなってしまう方もおられます。救命のためには早期に診断、治療を受けることが重要です。急激な胸背部痛が起こった場合は一刻も早く医療機関を受診してください。

末梢動脈の病気

末梢血管(手足の動脈と静脈)とは

人の体には心臓から酸素や栄養を含んだ血液を全身に送る血管(動脈)と各組織に届いた後に心臓に返ってくる血管(静脈)があります。例えば、足の動脈に異常(狭窄、閉塞など)が起これば、血流が悪くなり足先が冷たくなったり、壊死したりすることもあります。一方、足の静脈に異常(血液の逆流など)が起きると足がむくんだり、だるくなったりすることがあります。ここでは、末梢血管(手足の動脈・静脈[主に足])の病気についての説明をおこないます。

末梢動脈の病気 末梢動脈疾患(PAD)

  • 下肢末梢動脈疾患(LEAD[以前は閉塞性下肢動脈硬化症(ASO)言われていました])
    糖尿病、喫煙、高血圧、コレステロールの異常などが原因で足の動脈は狭窄したり閉塞したりします(動脈硬化)。狭窄が強くなると、足の冷感や、歩行中の足の痛み、だるさを感じます(間欠性跛行)。さらに狭窄が進んだり、閉塞したりすると安静時でも足が痛くなり、壊死することがあります。壊死した場合は、切断等をするしかありません。症状が進む前に早めの治療介入が重要になります。
原因 加齢、喫煙、高血圧、肥満、糖尿病、脂質代謝異常、脳心血管疾患合併
感染を契機に急に悪くなることがあります。
症状

下肢末梢動脈疾患の症状は、病変(動脈狭窄・閉塞)が進むと以下のような症状が出現してきます(Fontaine分類)

Ⅰ度 無症状・冷感・しびれ感

冷感やしびれ感を感じることもありますが、ほとんど症状はありません。

Ⅱ度 間欠性跛行(かんけつせいはこう)

一定の距離を歩くと、ふくらはぎなどに痛みやしびれ、だるさが出現し、歩くのが困難になりますが、しばらく休むと治まります。また歩き始めると再び同じ症状が出現しますが、病変が進むと歩ける距離も減っていきます。

Ⅲ度 安静時痛

安静にしていても痛みが生じます。

Ⅳ度 潰瘍・壊疽

小さな傷などをきっかけに皮膚に潰瘍や壊死を起こし、また、細菌感染等で治りにくくなります。

治療 まずは、原因に対する保存的な治療(薬物療法・運動療法・禁煙など)が重要になります。それでも上記のように間欠性跛行~壊疽などの症状が出現する場合は血行再建術(血管内治療、外科的血行再建)が必要になります。

保存的な治療

  • 高血圧・糖尿病・脂質代謝異常・肥満のある方は生活習慣の是正(食生活・運動)が必要になりますが、状態に応じて薬物療法が必要になります。
  • 間欠性跛行のような症状が出現してくると、歩くのが億劫になって控えることがあるかもしれません。しかし、それでも歩くことは重要です。歩くことで細い血管が発達して、症状が緩和されます。具体的な歩き方としては、痛みが出るか出る直前くらいまで歩き続け、いったん休んでからまた同じように歩きます。
  • 特に禁煙は厳守してください。喫煙本数増加と重症度は関連し、肢切断や死亡率が増加するといわれています。また、手術を行って症状が改善しても、喫煙を続けていると再度増悪してしまいます。

血行再建術

血行再建術には、動脈の狭くなっているところや閉塞しているところを血管内から拡張させたり開通させたりする血管内治療と、新たな血管(自分の静脈や人工血管)を用いてバイパスしたりする外科的血行再建術があります。

1)血管内治療

手や足に針を刺して、血管内にカテーテルという細い管を入れて行います。動脈が閉塞している部分を開通させ、開通した部分や動脈の狭窄部分をバルーンカテーテル(風船つきのカテーテル)で広げたり、ステント(金属の筒)を留置します。近年では薬物がコーティングされたバルーンカテーテルやステントも改良され成績は向上しています。

血管内治療では痛みが少なく、局所麻酔でも行える治療です。また、入院期間も少なく済み、早期に日常生活に戻ることができますが、病変の場所によっては治療ができないこともあります。

2)外科的血行再建術

外科的血行再建術には、狭窄や閉塞している動脈の内膜を取り除く血管内膜摘除術と、新たな血管を用いて病変部分を越えるように橋渡しするバイパス術があります。バイパス術では人工血管や足の静脈を使用します。特にカテーテルで治療できないような場合(膝下の血管や長区域の病変)で行うことが多いです。どちらも全身麻酔が必要になり、手術内容にもよりますが1-2週間程度の入院期間になります。傷の状態さえよければ早期に日常生活を送ることができます。

その他の治療

上記の治療をおこなっても血流改善が得られないような病変に対しては、高圧酸素療法やLDLアフェレーシスなどの方法も当院では行っています。

  • 下肢急性動脈閉塞
    急性動脈閉塞とは急に動脈がつまることで、組織の血流がなくなり、経時的に組織が壊れていく病気です。どの血管でも起こりえますが、主に足の動脈の閉塞を扱うことが多いです。
原因 動脈閉塞の原因としては塞栓症と血栓症があります。
塞栓症は、血の塊(血栓)などの塞栓子が動脈内に突然詰まることで起きます。つまり、塞栓子を作るような、不整脈(心房細動)や人工弁術後、感染症(感染性心内膜症)が原因になることがあります。
血栓症は、動脈硬化などでもともと動脈が狭かったり閉塞していたりするような方が、脱水になったり元の病変が急に進むことで起きます。すなわち、下肢末梢動脈疾患(PAD)の原因と同じになります。
症状 突然発症し、進行する足の痛み(Pain)、しびれ・感覚が鈍くなること(Paresthesia)、足の先の蒼白(Pallor/paleness)、脈がふれなくなること(Pulselessness)、足が動かなくなること(Paralysis/paresis)が出現します(5つのP)。一般的に症状が出てから4-6時間で神経→筋肉→皮膚の順で不可逆的な変化(どの治療をしても改善しない損傷)が起こります。したがって、このような症状が出現した場合には早急に医療機関を受診してください。
治療 症状が進むと、いかなる血管治療も効果がなくなり、切断が避けられないこともあるためできる限り早い治療が必要になります。治療として血栓除去術があります。血栓をとりのぞくことができても原因となっている血管に狭窄が残っている場合は追加で手術することもあります。
発症から治療までに時間がかかると、再灌流症候群が起こることがあります。再灌流症候群とは、血流が再開されたことにより、壊死した組織の成分が流れ出して腎不全や不整脈を引き起こす状態です。血流が途絶えていた時間が長ければ長いほどこれらのリスクが高くなり血液透析を要したり、命に関わることもあります。

手術後の経過ですが、発症してから早急に治療ができた場合は後遺症もなく、早期に退院することができます。しかし、後遺症が残っている場合はリハビリテーションや傷の治癒に時間を要することがあります。
bg_recruit

RECRUIT

心臓血管外科専門医として活躍するために

大学病院ならではの恵まれた環境で、心臓血管外科のエキスパートになる

心臓血管外科では和歌山県全域からの患者を受け入れ、後天性心疾患、先天性心疾患の手術、大血管および末梢血管の手術を行っています。また、循環器内科、放射線科と協力して血管内治療も積極的に行っています。さらに、地域の最後の砦としてドクターヘリを活用し、緊急手術も積極的に受け入れています。その結果、症例数は多く、最先端の治療を導入しており、心臓血管外科専門医を目指す上で、十分な研修ができる体制となっています。

働き方改革に対応すべく、遠隔医療支援システムの導入、チーム医療体制の導入に加え、ハートチームをさらに進化させた心臓病センターの開設など、より効率的な働き方を推進しています。

ワークライフバランスを重視したキャリア形成支援

心臓血管外科専門医のプログラムとして「紀の國修練プロジェクト」に基づき、県内の修練施設と協力体制を取りながら、キャリア形成支援を行っています。心臓血管外科は一般的に労働環境が厳しいと思われがちですが、そのような中でも、ワークライフバランスに配慮した働き方を実践しています。また、近年、女性医師の入局が多く、出産後の職場復帰の支援や、女性医師としての働き方に応じた専門性とキャリアプランを提供しています。

INTERVIEW

先輩インタビュー

國本 秀樹心臓血管外科 助教

研修医の先生方へ

心臓血管外科チームでは、心臓と、血管に関わる幅広い分野をカバーしています。

正中切開での心臓大血管手術から、肋間開胸下でのMICS 弁膜症手術、MICS CABG、大動脈、下肢動脈に対する手術を担当します。

近年はカテーテル治療の発達で、TAVIや、大動脈瘤や下肢動脈に対する血管内治療も担当します。

緊急手術が多いのも特徴で、重症な患者さんの全身管理から手術の事まで覚えることは沢山あります。はじめは開閉胸、大伏在静脈の採取や大腿動脈の剥離から覚えて徐々にstep upしていく楽しみがあります。

高い技術と知識、心身ともにタフさが求められますが、やりがいのある仕事です。熱い気持ちを持った先生、僕たちのチームに加わりませんか。